【テニス肘(上腕骨外側上顆炎)】痛みの原因と治療方法
「テニス肘」は正式名称を上腕骨外側上顆炎と言い、肘の外側に痛みが出る代表的な症状です。テニスのバックハンド動作で起こりやすいためこの名がつきましたが、実際はテニスをしない人にも非常に多い病気です。
テニス肘になりやすい人
以下のように、手首や肘をよく使う人に多く発症します。
- テニス・バドミントン・ゴルフ・卓球などのスポーツ
- コック・大工・保育士・介護士など、荷物を持つ仕事
- 毎日の家事を行う主婦の方
「重いものを持つ」「手首を反らす・ひねる」「指をよく使う」こうした動作を繰り返すことで、肘の外側の腱に炎症が起きてしまいます。特に週3回以上スポーツをする方、中高年の方は発症しやすいと言われています。
原因|なぜ肘の外側が痛くなるの?
テニス肘の主な原因は、手首を反らす筋肉である短橈側手根伸筋の付け根に負担がかかるためです。

- ラケットやクラブを振る
- 鍋やフライパンなどの重い物を持つ
- タオルを絞る
- パソコン作業で手首を使う
といった動作を続けることで炎症が進みます。若い時期は筋力や腱の強さでカバーできますが、年齢とともに腱が弱くなり、中高年で突然痛みが出る場合もあります。
テニス肘の症状
「安静時は痛くないのに、動かすと痛い」のが特徴です。
- 物をつかんで持ち上げると痛い
- ドアノブを回すと痛い
- タオルを絞ると痛い
- キーボードやマウス操作がつらい
- 赤ちゃんや荷物を抱えると痛む

症状が進行すると「何もしていなくてもジンジン痛む」、「コップを持つだけで痛い」という日常生活に支障が出る状態になることもあります。
テニス肘の診断方法
当院では、以下の方法で診断します。
Thomsen test(トムゼンテスト)
肘を伸ばし手首を曲げた状態で、負荷をかけて痛みを確認します。
Chair test(チェアテスト)
椅子など重い物を持ち上げて痛みの出方を確認します。
中指伸展テスト
中指を伸ばしたまま押され、痛みが出るかを確認します。
さらに、肘の変形や軟骨のすり減りなど別の病気と区別するためにレントゲン検査も行います。
テニス肘の治療法
症状や生活スタイルに合わせ、次の治療を組み合わせて行います。
1.ストレッチ・セルフケア
手首・肘・肩のストレッチを行います。アイシングも効果的です。
2.安静(手や肘の使いすぎを避ける)
痛みを無視して使い続けると悪化します。「しばらく休む」ことが早期改善の近道です。
3.痛み止め(飲み薬・湿布・塗り薬)
ロキソニンなどの消炎鎮痛剤を使います。胃の負担や腎機能への影響があるため、医師と相談して使用します。
4.注射
局所麻酔薬+ステロイドの注射で、数日以内に強い痛みが改善するケースが多いです。
痛みがなくなった期間に、ストレッチやリハビリで根本治療を進めることが大切です。
5.サポーター(テニスエルボーバンド)
肘の付け根への負担を減らします。スポーツ時や仕事中に有効です。
6.リハビリ
温熱療法、レーザー治療、ストレッチ、体外衝撃波治療(慢性期に有効)、リハビリは即効性は少ないですが、長期的には最も治療効果が高いと言われています。
7.手術
重症で治療に反応しない場合のみ行います。肘を切開する方法と、関節鏡を使う方法があり、どちらも腱の付け根を処置します
テニス肘の予防・再発防止
毎日のケアで痛みを防ぎ、再発リスクも大きく減らせます。
- 肘を伸ばし、手を前に
- 反対の手で指をつかみ手前へゆっくり引く
30秒×左右→ 負荷の溜まった腱をやわらげます
- ダンベル・ゴムバンド・ペットボトルで手首を上下に動かす
腱を支える筋力がつき再発予防に効果的※痛みが強い時は悪化するため控えましょう
- 発症~1~2ヶ月:アイシング
- 発症から3ヶ月以降:温めて血流改善
状態によって逆効果になるため、迷う場合はご相談ください
- 肘の負担を減らし、スポーツ中の痛みを軽減します。
市販品でもOKです。
痛みを改善する栄養
タンパク質(筋肉・腱の材料)
豆腐・納豆・魚・肉
ビタミンB群(タンパク質の吸収をサポート)
ナッツ類・レバー
ミネラル(血液と代謝をサポート)
海藻・レバー・牡蠣
監修医師のアドバイス
テニス肘は適切な治療とケアで改善できる病気です。「そのうち治るだろう」と放置すると、長引いて治りにくくなるケースが多くみられます。肘の外側が痛い、物を持つと痛む、仕事や家事に支障がある、スポーツ中の痛みで悩んでいる、こうした症状がある方はお気軽にご相談ください。当院では、患者さんの生活や症状に合わせて、最適な治療をご提案いたします。
おやま整形外科クリニックでの治療費の例
| 1割負担 | 2割負担 | 3割負担 | |
|---|---|---|---|
| 初診の診察 レントゲン(6方向) 処方箋 | 約900円 | 約1,780円 | 約2,670円 |
| 再診の診察 物理療法 (電気治療、ウォーターベット) | 約110円 | 約220円 | 約330円 |
| 再診の診察 運動器リハビリ (理学療法士) | 約450円 | 約890円 | 約1,340円 |
| 初診の診察レントゲン(6方向)・処方箋 |
| 1割負担:約900円 |
| 2割負担:約1,780円 |
| 3割負担:約2,670円 |
| 再診の診察・物理療法 (電気治療、ウォーターベット) |
| 1割負担:約110円 |
| 2割負担:約220円 |
| 3割負担:約330円 |
| 再診の診察・運動器リハビリ(理学療法士) |
| 1割負担:約450円 |
| 2割負担:約890円 |
| 3割負担:約1,340円 |
