【屈筋腱損傷】正しい治療法

指は、家事・仕事・スマートフォン操作・スポーツなど、毎日の生活に欠かせない大切な部位です。そのため、指を曲げるための腱(=屈筋腱くっきんけん)が傷つく「屈筋腱損傷」は、誰にでも起こりうる怪我です。

「指が急に曲がらない」「痛くて力が入らない」
そんな症状がある場合、この疾患が関係していることがあります。

山形の整形外科でも日常的にご相談の多い疾患です

目次

屈筋腱損傷とは

屈筋腱は、指の筋肉と骨をつなぎ、指を曲げる動きを作る“ヒモのような組織”です。親指には1本、その他の指には2本ずつ存在します。ドアに指を挟んだり、包丁やガラスで切ったり、スポーツ中の衝突など、外から強い力が加わると腱が部分的・完全に切れてしまうことがあります。これが屈筋腱損傷です。

屈筋腱損傷の症状

屈筋腱が損傷すると、次のような症状が見られます。

  • 指が曲げにくい・全く曲がらない
  • 指先に「こわばり」や強い違和感がある
  • 指のつけ根や関節付近の腫れ・痛み
  • ぶつけた覚えがなくても内出血(赤紫色)が出ることがある
  • 怪我の程度により、握力の低下や関節の不安定さが出る

特に

  • 深い方の腱(深指屈筋)が切れる → 第一関節が曲がらない
  • 浅い方も含め両方切れる → 第一・第二関節どちらも曲がらない

という特徴があり、診断のポイントになります。

屈筋腱損傷の診断方法

以下のステップで丁寧に評価します。

STEP
受傷状況の確認

いつ・どこで・どうやって痛めたか

STEP
指の動きのテスト

どの関節が曲がらないかで損傷した腱を推測

STEP
画像検査
  • レントゲン:骨折の有無を確認
  • 超音波検査(エコー):腱の断裂を即時に評価
  • 必要に応じてMRI・CT

指の腱は細く、早期判断がとても重要なため、自己判断せず整形外科での確認をおすすめします。

屈筋腱損傷の治療法

屈筋腱損傷の治療は、損傷の程度によって大きく異なります。

保存療法(軽症の場合)

  • 指を安静に保つ
  • 包帯・固定・サポーターで保護
  • 氷で冷やして炎症を抑える(タオル越しに行い低温やけどに注意)
  • 痛み止め・抗炎症薬の内服
  • 超音波・電気治療などの物理療法

手術療法(腱が切れている場合)

  • 腱縫合術:受傷直後〜数日以内が特に有効
  • 腱移植術:受傷から長期間経過し、腱が太く縮こまり縫合できない場合に実施

※腱は受傷から数週間すると腫れて太くなり、縫合が難しくなってしまいます。
「指が曲がらない」症状がある場合は、早めの受診がとても重要です。

屈筋腱損傷のリハビリ

屈筋腱損傷は、治療に加えてリハビリが非常に重要です。
当院では、作業療法士・理学療法士がサポートします。

初期

  • 痛み・腫れの軽減
  • 指を保護しつつ可動域が落ちないよう調整

可動域(動き)の回復

  • 関節の曲げ伸ばし
  • 指周囲の筋肉のストレッチ
  • 癒着(腱が周りにくっつくこと)を防ぐ訓練

筋力トレーニング

  • 握る動作
  • 指先でつまむ動作など

日常動作の練習

  • タイピング
  • ボタンかけ
  • ペンを持つ動作 など

定期評価

状態を見ながら負荷量を調整し、無理なく回復を促します。

手術後のリハビリは特に重要で、およそ3か月ほど慎重な管理が必要な場合があります。

予防のポイント

  • 刃物・ガラスを扱う際は手袋を使用
  • スポーツ前は指のストレッチ・ウォーミングアップを行う
  • 指に強い負荷がかかる作業はこまめに休憩する

監修医師のアドバイス

指の関節がうまく曲がらなかったり、物をつまんだり握ったりする動作が難しい場合、また怪我のあとに強い腫れや痛みが続く場合、さらに切り傷のあとに指が動かないといった症状がみられる場合には、屈筋腱損傷の可能性があります。これらの症状が当てはまる方は、早めに当院(山形のおやま整形外科)へご相談ください。

おやま整形外科クリニックでの治療費の例

初診の診察レントゲン(6方向)・処方箋
1割負担:約900円
2割負担:約1,780円
3割負担:約2,670円
再診の診察・物理療法
(電気治療、ウォーターベット)
1割負担:約110円
2割負担:約220円
3割負担:約330円
再診の診察・運動器リハビリ(理学療法士)
1割負担:約450円
2割負担:約890円
3割負担:約1,340円
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