リリカ(プレガバリン)
リリカ(一般名:プレガバリン)は、神経の痛みをやわらげるお薬です。
通常の鎮痛薬(ロキソニンやカロナールなど)では効きにくい、しびれを伴う痛みや神経の炎症による痛みに効果があります。
リリカの作用・効果
私たちは日常生活の中で、さまざまな「痛み」を感じます。
痛みの原因には大きく分けて2つのタイプがあります。
侵害性疼痛
火傷や骨折など、体の組織に炎症や損傷が起きたときに感じる痛み。
神経障害性疼痛
脊柱管狭窄症や椎間板ヘルニア、糖尿病による神経の障害など、神経そのものが傷ついたり圧迫されたりすることで起こる痛み。
このうち、リリカは神経障害性疼痛をやわらげるためのお薬です。
痛みの信号は、神経から神経へと「神経伝達物質」という化学物質を通して伝えられます。神経が障害されると、この神経伝達物質が過剰に放出されてしまい、痛みが強く感じられるようになります。リリカは、神経の細胞にある「カルシウムチャンネル」という部分に働きかけ、カルシウムの取り込みを抑えることで、神経伝達物質の過剰な放出を防ぎます。
その結果、脳へ伝わる痛みの信号が弱まり、痛みがやわらぐという仕組みです。
用法・用量
リリカは、体に少しずつ慣らしながら服用量を調整していくお薬です。
神経障害性疼痛に用いる場合
- 最初は 1日150mg(朝と夜の2回に分けて服用) から始めます。
その後、体の様子を見ながら1週間以上かけて1日300mg程度までゆっくり増量していきます。
1日の最大量は 600mg(朝・夜の2回に分けて) までとされていますが、症状の程度や年齢、体の状態などによって適切な量は異なります。

リリカを急に多く飲むと、めまいや眠気といった副作用が出やすくなるため、医師が様子を見ながら少しずつ安全に量を増やしていくことが大切です。
飲み忘れたときの対応
- 気がついた時点で1 回分を服用してください。
- 気がついた際の時間と次に飲む時間の間隔が短い際は、飲み忘れたお薬は服 用せず、次に服用する時間に1回分を服用してください。
- 2回分を一度に服用することはしないでください。もしも多く服用してしまった場合は医師または薬剤師に相談してください。
服用の仕方
カプセル剤の場合
- コップ1 杯の水もしくは、ぬるま湯で服用してください。
リリカOD錠(口腔内崩壊錠)
- 口の中に入れてそのまま溶かして服用することもできますし、
口の中で溶かさずに、通常の錠剤と同じようにお水やぬるま湯で飲み込んでも大丈夫です。
※どちらの方法でも効果に違いはありませんので、飲みやすい方法で服用してください。
リリカの注意事項
- 痛みの原因を治す薬ではありません
リリカは神経の過剰な興奮を抑えて痛みを軽くする薬です。痛みの原因となる病気そのものを治す薬ではありませんので、原因の治療は医師の診断のもとで並行して行うことが大切です。
- 急にやめないようにしましょう
服用を急に中止すると、不眠・吐き気・頭痛・下痢などの症状が出ることがあります。
減量や中止の際は、医師の指示に従いながら1週間以上かけてゆっくり調整してください。
- めまいや眠気に注意にしましょう
服用後に眠気やふらつきが出ることがあります。自動車や自転車の運転、高所での作業などは控えましょう。特にご高齢の方は、転倒や骨折にも注意が必要です。
- 体重が増えることがあります
服用量が多い場合や長期間服用している場合に、体重が増加することがあります。普段から体重をチェックし、気になる変化があれば医師や薬剤師に相談しましょう。
- 視覚の異常に気をつけましょう
まれに目がかすむ、二重に見える、視力が落ちるなどの症状が出ることがあります。異変を感じたら、すぐに医師または薬剤師にご相談ください。
- 飲酒は控えめに
お酒を飲むとリリカの作用が強くなり、眠気やめまいが増すことがあります。服用中は飲酒を控えるか、医師にご相談ください。
副作用
- めまい、ふらつき、強い眠気、意識が遠のく
- 息苦しさ、動悸、体のむくみ
- 筋肉痛、脱力感、赤いまたは茶色い尿(横紋筋融解症の可能性)
- 顔や唇、のどの腫れ、じんましん、呼吸困難(アナフィラキシーの可能性)
- 発熱、目の充血、唇や皮膚のただれ(重い皮膚反応の可能性)
- 食欲不振、吐き気、黄疸(肝機能障害の可能性)
少しでも体調の変化を感じたら、自己判断せずに必ず医療機関へご相談ください。
妊婦 ・授乳婦の方へ
- 妊娠中、または妊娠している可能性がある方、そして授乳中の方は、リリカを服用する前に必ず医師にご相談ください。
複数の医療機関を受診されている方へ
複数の医療機関を受診する場合や、薬局で市販薬を購入する場合には、必ずこの薬を服用していることを医師または薬剤師に伝えてください。
保管方法
- お子様の手の届かないところに保管 してください。
- 室温(1~30°C )で、日光や湿気を避けてください。
- 薬が残ってしまった時は、お薬を受け取った薬局にて廃棄方法を相談し、保管はせずに破棄するようにしてください。
まとめ
リリカ(プレガバリン)は、神経の興奮を抑えて痛みをやわらげるお薬です。特に、しびれやピリピリするような神経の痛み(神経障害性疼痛)に効果があります。痛みの原因そのものを治す薬ではありませんが、痛みによる不快感を軽くし、生活の質を高めることができます。
監修薬剤師・医師
- 仲上 大貴(なかがみ だいき):薬剤師…志薬塾塾長
- 小山 翔平(おやま しょうへい): 日本整形外科学会 認定専門医
当院での処方について
処方箋は発行日を含めて4日以内に、かかりつけの薬局でお薬と引き換えてください。4日を過ぎると処方箋は無効となり、お薬を受け取れなくなりますのでご注意ください。