【頚椎後縦靭帯骨化症】首のしびれ・痛みの原因と治療法を医師が解説

みなさんは「頚椎後縦靭帯骨化症けいついこうじゅうじんたいこっかしょう」という病気をご存じでしょうか?
この病気は、首の骨(
頚椎けいつい)の内側を走る「後縦靭帯こうじゅうじんたい」という靭帯が、骨のように硬くなってしまう病気です。

目次

頚椎後縦靭帯骨化症の症状

靭帯が骨化して神経や脊髄を圧迫すると、首から肩・腕・手にかけてさまざまな症状があらわれます。初期では「首や肩のこり・痛み」が多く、神経の圧迫が進むにつれて次のような症状が出てきます。

  • 手や指先のしびれ、感覚の鈍さ
  • 力が入りにくく、物を落としやすい
  • ボタンを留める・字を書くなど細かい動作が難しい
  • 歩行時に足がもつれる、ふらつく
  • 重度では排尿困難や頻尿、排便障害

これらの症状は徐々に進行することが多く、「年齢のせい」「肩こり」と思い込んで放置すると重症化することがあります。早期の診断・治療が何より大切です。

頚椎後縦靭帯骨化症の原因

頚椎後縦靭帯骨化症の原因は、まだ完全には解明されていませんが、いくつかの要因が関与していると考えられています。

遺伝的な要因

まず、「遺伝的な要因」が大きな役割を果たしていることが示唆されています。家族に同じ病気を持つ人がいる場合、発症のリスクが高まる可能性があります。

加齢

「加齢」も重要な要因の一つです。年齢を重ねると身体の組織が徐々に変性しやすくなり、靭帯が硬くなり骨化しやすくなることが知られています。特に中高年の男性に多く見られる病気ですが、女性や若い人にも発症することがあります。

物理的な負荷やストレス

靭帯や骨に対する長期間にわたる物理的な負荷やストレスも、骨化の原因となりうると考えられています。たとえば、スポーツや重労働などで首に負担がかかり続けると、頚椎の靭帯が骨化しやすくなる場合があります。また、一部の代謝異常やホルモンの変化が関与している可能性も指摘されています。特に、「糖尿病」などの代謝疾患を持つ人では頚椎後縦靭帯の骨化リスクが高いとされています。

 これらの要因が組み合わさり、頚椎後縦靭帯が異常に骨化してしまうと考えられますが、どの要因が主な原因かは患者ごとに異なる場合があります。

診断と検査方法

頚椎後縦靭帯骨化症が疑われる場合、医師は問診・神経診察・画像検査を組み合わせて診断します。

主な検査

  • X線検査:骨化した靭帯の有無を確認
  • CT検査:骨化の範囲や位置を立体的に把握
  • MRI検査:神経や脊髄の圧迫の程度を詳しく評価

これらを総合して、病気の進行度・手術の必要性を判断します。

治療法:保存療法と手術療法

治療は症状の重さによって大きく異なります。

軽症〜中等症の場合(保存療法)

  • 消炎鎮痛剤や神経の炎症を抑える薬の使用
  • 首・肩周囲の筋力を高めるリハビリテーション
  • 姿勢改善や生活習慣の見直し

これらにより、神経への圧迫を軽減し、進行を抑えます。

重症の場合(手術療法)

保存療法で改善が見られない場合や神経症状が強い場合は、
手術で骨化部分を除去または神経の通り道を広げる治療が行われます。

主な手術方法

  • 椎弓形成術(ついきゅうけいせいじゅつ)
  • 椎弓切除術(ついきゅうせつじょじゅつ)

手術後はリハビリを通して機能回復を図り、再発防止を目指します

頚椎後縦靭帯骨化症のリハビリ

リハビリは、手術の有無にかかわらず欠かせない治療の一部です。

  • ストレッチ:筋肉の緊張を和らげ、神経への負担を軽減
  • 筋力トレーニング:首や肩、肩甲骨周りの筋肉を強化して安定性を高める
  • 姿勢改善指導:デスクワーク中やスマートフォン使用時の姿勢を整える

理学療法士の指導のもと、無理のない範囲で続けることが大切です。

予防と日常生活のポイント

原因を完全に防ぐことは難しいですが、生活習慣の工夫でリスクを減らすことができます。

  • 正しい姿勢を保つ(首が前に出ないように意識)
  • デスクワーク中はこまめに休憩をとる
  • 肩甲骨・背中の筋肉を動かす軽い運動を習慣化
  • 適正体重を保ち、肥満を防ぐ
  • 首に負担のかかる動作(重い荷物を持つなど)を避ける

監修医師のアドバイス

頚椎後縦靭帯骨化症は決して珍しい病気ではありません。早期に発見し、薬やリハビリを導入することで、重症化を防ぐことができます。「手がしびれる」「細かい動作がしづらい」「歩くとふらつく」などの症状がある方は、放置せずに一度整形外科で相談してみましょう。

おやま整形外科クリニックでの治療費の例

初診の診察レントゲン(6方向)・処方箋
1割負担:約900円
2割負担:約1,780円
3割負担:約2,670円
再診の診察・物理療法
(電気治療、ウォーターベット)
1割負担:約110円
2割負担:約220円
3割負担:約330円
再診の診察・運動器リハビリ(理学療法士)
1割負担:約450円
2割負担:約890円
3割負担:約1,340円
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