【頚髄症】原因不明の手足の痺れ

 手足のしびれや細かい動作がうまくいかないと感じていませんか?それ、もしかしたら『頚髄症けいずいしょう』かもしれません。放っておくと、歩行や日常生活に大きな影響を及ぼすことも。今回は、頚髄症の原因や症状、そして早めに治療を始める重要性について詳しく解説します。

目次

頚髄症の症状

頚髄症とは、首の背骨にある脊髄せきずいが圧迫されることで、さまざまな症状が現れる状態を指します。主な原因は加齢による変化や椎間板ヘルニアですが、これにより脊髄が圧迫され、信号の伝達がうまくいかなくなります。その結果、手足のしびれや力が入りにくくなる症状が出ることが多いです。特にボタンをはめるなど細かい動作がしづらくなったり、歩行が不安定になることもあります。進行すると、排尿や排便に影響が出ることもあるため、早めの治療が重要です。

治療としては、症状が軽度であれば安静や薬物療法で経過を見ますが、症状が進行している場合には手術で脊髄への圧迫を取り除くことも検討されます。症状が悪化すると日常生活に大きな支障が出る可能性があるため、早期の診断と適切な対応が大切です。

頚髄症の原因

頚髄症の主な原因は、首の背骨にある椎骨ついこつや椎間板の加齢による変化です。加齢とともに椎骨が変形し、椎間板が劣化することで、脊髄や神経に圧力がかかるようになります。この圧迫が原因で、手足のしびれや力が入りにくくなるなどの症状が現れます。

具体的には、椎間板が潰れることで脊髄を圧迫したり、背骨の周りに骨のとげ(骨棘=(こつきょく))ができて神経を圧迫することがあります。また、椎間板が脊髄の方向に飛び出してしまう椎間板ヘルニアや、首の骨がずれて神経を圧迫することも原因の一つです。

これらの変化は特に50歳以降に多く見られますが、若い人でも過度なスポーツや仕事による首の負担が原因で発症することがあります。また、事故やけがで首に強い衝撃を受けた場合にも頚髄症になることがあります。したがって、首に負担をかけない生活習慣が予防につながります。

頚髄症の検査

頚髄症は、首の部分の脊髄が圧迫されて神経に障害が起きる病気で、主に首や肩の痛み、手足のしびれ、力が入りにくいといった症状が現れます。この症状の原因を調べるために、いくつかの検査が行われます。まず、診察では、医師が患者の症状を詳しく聞き、首や肩の可動域や筋力、感覚などを確認します。これに加えて、レントゲン検査を行い、頚椎(首の骨)の状態を確認します。レントゲンでは、骨の変形や狭窄きょうさくの有無を確認できるものの、神経や脊髄の詳細は映りません。そのため、より詳しく調べるためにはMRI(磁気共鳴画像検査)が用いられます。MRIでは、脊髄や神経の圧迫具合を直接確認できるため、頚髄症の診断において非常に重要な役割を果たします。また、神経伝導速度検査や筋電図検査が行われることもあります。これらの検査では、神経の伝達が正常に行われているか、筋肉が正しく機能しているかを評価します。

検査結果をもとに、症状の進行具合や重症度を判断し、治療方針を決定します。

頚髄症の治療

頚髄症の治療について説明します。頚髄症は、首の部分の脊髄が圧迫されて起こる神経の障害で、治療は症状の重さや進行具合によって異なります。大きく分けて、保存療法と手術療法があります。まず、症状が軽度であれば、保存療法を行います。これは、薬物治療やリハビリテーションを中心とした治療です。痛みやしびれを和らげるために、消炎鎮痛剤や筋肉をほぐす薬が処方されます。また、首を安定させるための頸椎けいついカラー(サポーター)や、物理療法(温熱療法、牽引療法など)も効果的です。リハビリでは、首や肩周りの筋力を強化し、症状の改善を図ります。

しかし、保存療法で改善が見られない場合や、症状が重い場合は、手術が必要になることがあります。手術では、圧迫されている脊髄や神経を解放するために、骨や椎間板の一部を取り除く処置が行われます。手術の方法は患者の状態により異なりますが、脊髄や神経の圧迫を軽減し、症状の進行を防ぐことが目的です。

治療後も、日常生活での姿勢や首に負担をかけないよう心がけることが大切です。

頚髄症のリハビリ

頚髄症のリハビリについて説明します。頚髄症は、首の脊髄が圧迫されて神経に障害が起こる病気で、リハビリは治療の一環として非常に重要です。リハビリは、症状を軽減し、日常生活の質を向上させることを目的としています。

まず、リハビリでは、首や肩の筋肉を強化するエクササイズが行われます。筋力を高めることで、脊椎を安定させ、首への負担を減らすことができます。具体的には、首や肩のストレッチや軽い筋力トレーニングが推奨されます。これにより、首周りの血流が良くなり、症状の緩和が期待できます。

次に、姿勢の改善もリハビリの重要なポイントです。普段の生活で悪い姿勢が続くと、首への負担が増し、症状が悪化する可能性があります。リハビリでは、正しい姿勢を維持する方法や、長時間同じ姿勢を避けるためのアドバイスが提供されます。

日常生活での負担を減らすために、
適切な動作方法を学ぶこともリハビリの一環です。

例えば、重い物を持つときや、首を動かす際に注意すべきポイントについて指導されます。リハビリは継続することが大切で、専門家の指導のもと、無理なく進めることが症状の改善に繋がります。

頚髄症の予防

頚髄症は首の脊髄が圧迫されて神経に障害が起きる病気ですが、日常生活で気をつけることで予防や症状の悪化を防ぐことが可能です。

まず、正しい姿勢を保つことが大切です。首に過度な負担がかからないように、背筋を伸ばし、頭を前に突き出さないように心がけましょう。特に長時間のデスクワークやスマートフォンの使用中は、こまめに休憩をとり、首や肩を動かして緊張をほぐすことが重要です。

次に、適度な運動を習慣化しましょう。特に首や肩周りの筋肉を強化する運動は、脊椎をサポートし、首への負担を軽減するのに役立ちます。首や肩のストレッチや軽い筋力トレーニングを日常的に行うことで、頚椎の柔軟性を保ち、症状を予防することができます。さらに、重い物を持ち上げるときは、必ず腰を落として膝を使うなど、首や背中に過度な負担がかからないような姿勢で行動することが大切です。

最後に、首の怪我を避けるために、スポーツや日常生活で無理をしないことや、事故防止に気をつけることも重要です。予防は小さな心がけの積み重ねが大切ですので、日々の生活で意識してみてください。

監修医師のアドバイス

頚髄症は「年齢のせい」と見過ごされがちですが、放置すると歩行障害や排尿障害など生活の質を大きく損なう病気です。手足のしびれや細かい動作のしづらさを感じたら、早めに整形外科を受診し、MRIなどで正確な診断を受けることが大切です。軽度なら薬やリハビリで改善が見込めますが、進行すれば手術が必要になる場合もあります。日頃から正しい姿勢や首への負担を減らす習慣を心がけ、早期発見・早期治療で快適な生活を守りましょう。

おやま整形外科クリニックでの治療費の例

初診の診察レントゲン(6方向)・処方箋
1割負担:約900円
2割負担:約1,780円
3割負担:約2,670円
再診の診察・物理療法
(電気治療、ウォーターベット)
1割負担:約110円
2割負担:約220円
3割負担:約330円
再診の診察・運動器リハビリ(理学療法士)
1割負担:約450円
2割負担:約890円
3割負担:約1,340円
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