デキサート(ステロイド)

デキサート(ステロイド)

山形県寒河江市の整形外科 おやま整形外科クリニックのお薬説明


デキサートとは

生体内で生成される副腎皮質ホルモンを人工的に合成した製剤であり、炎症を抑える効果の他に免疫反応の抑制やアレルギー反応を抑制する効果もあるお薬になります。

副腎皮質ホルモンには「糖質コルチコイド」「鉱質コルチコイド」の2種類があります。

糖質コルチコイド:抗炎症効果、免疫抑制作用

鉱質コルチコイド:利尿作用

それぞれの代表的な機能として、上記のような機能を持ちます。

デキサートは糖質コルチコイドの作用が強く、鉱質コルチコイドの作用は弱められた製剤になっています。


デキサートの作用・効果

デキサートには複数の効果がありますが、ここでは抗炎症効果について説明していきます。

まず、炎症とは生体の細胞や組織が傷つき、それを治す時に現れる反応のことを言います。症状としては発赤、発熱、疼痛、腫脹(腫れ)が主として現れます。

組織や細胞が傷つく要因としては、切り傷ややけど、骨折のような外的な場合や細菌、ウイルス感染も要因の一つになります。

実際に組織や細胞が傷つくとサイトカインやプロスタグランジン、ロイコトリエンといった物質が体内で産生されます。この物質たちによって傷ついた組織や細胞周辺の血管を広げることで血流量を増加させたり、血管細胞同士の隙間を広げることで免疫細胞や血漿成分を傷ついた組織に移行しやすくすることで傷を直していきます。

修復と並行して、血流量が増加することで発赤や発熱が起きたり、血漿成分が血管外に出ていくことで腫脹や疼痛が現れます。このようにして炎症が起こっています。

つまり、炎症を起こす原因となるサイトカインやプロスタグランジン、ロイコトリエンの産生を抑えることができれば炎症を抑えることができることになります。

糖質コルチコイドはこれらの産生を抑えることで抗炎症作用を示します。

炎症はさまざまな場面で現れます。先ほど示したやけどや骨折、外傷以外にも、四十肩や五十肩による肩関節周囲炎や腱鞘炎、関節リウマチによる関節の腫れや疼痛も炎症が起こっている疾患になります。

*プロスタグランジンの産生抑制はNSAIDsにも共通する効果になります。プロスタグランジンにはいくつか種類があり、プロスタグランジンE2は炎症を引き起こす作用に加えて、痛みを増強させる作用も持ち合わせています。NSAIDsはプロスタグランジンによる炎症を抑える目的とプロスタグランジンE2の産生抑制による痛み止めの目的として用いられています。

デキサートの使い方

用量用法

関節リウマチ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・[筋肉内、関節腔内]

関節周囲炎(非感染性のものに限る) ・・・・・・・・・[軟組織内、腱鞘内、滑液Y内]

 腱炎(非感染性のものに限る)・・・・・・・・・・・・[軟組織内、腱鞘内]

 腱鞘炎(非感染性のものに限る)・・・・・・・・・・・[腱鞘内]

 腱周囲炎(非感染性のものに限る) ・・・・・・・・・・[軟組織内、腱鞘内、滑液Y内

変形性関節症(炎症症状がはっきり認められる場合)・・・[関節腔内]

 非感染性慢性関節炎 ・・・・・・・・・・・・・・・・・[関節腔内]]

椎間板ヘルニアにおける神経根炎(根性坐骨神経痛を含む)[硬膜外]

 

投 与 法 (注射部位) 投与量・投与回数 (デキサメタゾンとして) (本剤の1回量:デ キサメタゾ ン 3.3mg/mLとして)

筋肉内注射 1回1.65~6.6mg、3〜6時間毎 0.5~2mL

関節腔内注射 1回0.66~4.1mg 0.2~1.25mL

軟組織内注射 1回1.65~5.0mg 0.5~1.5mL

腱鞘内注射 1回0.66~2.1mg 0.2~0.625mL

滑液嚢内注入 1回0.66~4.1mg 0.2~1.25mL

硬膜外注射 1回1.65~8.3mg 0.5~2.5mL

*関節腔内注射、軟組織内注射、腱鞘内注射、滑液嚢内注入、硬膜外注射は原則として投与間隔を2週間以上と空けることとなっています。

デキサートの注意事項

・免疫を低下させる作用があるので、通常よりも感染症にかかりやすくなります。

人混みを避ける、手洗いうがいなどの対策をしっかりと行ってください。また、発熱や咳が出るなど、体調が悪い時は早めに医療機関に受診するようにしてください。

・免疫機能低下のため、長期あるいは大量投与中の方、又は投与中止後6ヵ月以内の方は生ワクチンを摂取しないでください。免疫機能が低下しているため、生ワクチンを投与することでワクチン由来の感染を増強又は持続させる可能性があります。

・B型肝炎ウイルスキャリアの方はデキサートの投与により肝炎が現れることがあります。

そのためデキサートの投与期間中、投与終了後は継続して肝機能検査を行うなどの対応が大切になります。

・体重増加や中心性肥満が起こる可能性があります。

中心性肥満とは体幹の中心に脂肪がついたり、顔の脂肪が増えることで満月のようになる満月様顔貌が症状として現れます。

・風邪薬や血液をサラサラにする際に使用されるアスピリンというお薬と一緒に服用するときに注意が必要になります。

・筋肉注射の場合、注射したところが痛むことがあります。

副作用

・呼吸困難、冷汗、ふらふら感 [ショック、アナフィラキシー]

・全身倦怠感、食欲不振、嘔吐 [続発性副腎皮質機能不全、糖尿病]

・みぞおちの痛みや圧痛、げっぷ、下血 [消化性潰瘍、消化管穿孔、膵炎]

・肢の痛み・むくみ、突然の息切れ、激しい頭痛 [血栓塞栓症]

[ ]で示した副作用が現れる際に、最初に現れる症状になります。

このような症状が出た場合には、すぐに医師または薬剤師に相談してください。

妊婦・授乳婦の方へ

・妊婦または妊娠している可能性がある人、授乳婦は医師に相談してください。

複数の医療機関を受診されている方へ 

複数の医療機関を受診されている方へ

・複数の医療機関を受診する場合や、薬局などで他の薬を購入する場合は、必ずこの薬を飲んでいることを医師または薬剤師に伝えてください。

・持病をお持ちの方は必ず医師、薬剤師に伝えるようにしてください。

山形県寒河江市の整形外科 おやま整形外科クリニックの処方箋

当院では門前薬局の椿メディカル様を中心に、各薬局様で取り換えていただくことのできる処方箋を発効しております。ご自分のかかりつけ薬局にて、必ず3日以内に引き換えてもらいましょう。3日を過ぎるとお薬に変えてもらえなくなってしまいます。お気を付けください。

治療費

現在の薬価(2021年10月時点)

1割負担2割負担3割負担
先発品約***円約***円約***円
後発品(ジェネリック)約***円約***円約***円

まとめ

デキサートは体内で作られる副腎皮質ホルモンを人工的に合成したお薬であり、様々な作用を発揮することで炎症を抑えることがわかったと思います。

同じ分類に含まれるケナコルトよりも作用が強力であり、効果が強い分副作用にも注意してください。医師や薬剤師から指導があると思います。しっかりと注意事項を把握して、副作用を回避して安全な治療を進めていきましょう。

そして、なにか違和感や不安があるときは必ず医師や薬剤師に相談しましょう。

監修薬剤師・医師

  1. 仲上 大貴(なかがみ だいき): 薬剤師…志薬塾塾長(https://haru001.wixsite.com/kaeru/blank-2
  2. 小山 翔平(おやま しょうへい): 日本整形外科学会 認定専門医…おやま整形外科クリニック 院長

山形県寒河江市の整形外科 おやま整形外科クリニックの院長紹介

氏名: 小山 翔平(おやま しょうへい)
出身地: 山形県寒河江市
資格: 日本整形外科学会 認定専門医