山形県寒河江市の整形外科 おやま整形外科クリニックのお薬説明
トラマールとは
中枢神経系にある、痛みを抑える経路(下行性痛覚抑制系)に働きかけることで痛みを和らげます。
*モルヒネの1/5程度の鎮痛効果を発揮し、がんによる痛みの軽減にも使用されるお薬になります。しかし、モルヒネのように麻薬ではありません。
トラマールの作用・効果
痛みは様々な場面で感じることがあると思います。
原因別でみると
・侵害性疼痛:火傷や骨折による炎症が原因で起こる
・神経障害性疼痛:脊柱管狭窄症や椎間板ヘルニアなどの神経圧迫や糖尿病による神経自体の障害が原因で起こる
2種類あり、それ以外に社会的・心理的な原因で起こる痛みもあります。
NSAIDsは侵害性疼痛、リリカやタリージェは神経障害性疼痛に用いられますが、トラマールはどちらの痛みにも対応できます。
痛みは炎症や神経圧迫の刺激がいくつかの中枢神経を通って大脳に伝わると痛みとして感じるようにできています。また、人間には痛みを和らげる「下行性痛覚抑制系」という機能が備わっています。
下行性痛覚抑制系では、ノルアドレナリン、セロトニンという物質が働くことで刺激を伝える中枢神経系の働きを抑えて、大脳に刺激が伝わらなくなり、痛みを和らげてくれます。
トラマールはμ受容体を刺激して炎症や神経圧迫など痛みとして感じる刺激の大脳への伝達を抑え、且つセロトニンとノルアドレナリンの濃度を高めることで下行性痛覚抑制系の機能を亢進させて痛みを和らげます。
トラマールの使い方
用量用法
慢性疼痛に用いる場合
通常はトラマドール塩酸塩として1日100~300mg を4回に分割して服用してください。
ただし1回100mg、1日400mgを超えないようにしてください。
*年齢、症状により変わります。
*初めて服用する場合は、なるべく 25mg から服用を初めて行くことが望ましいです。
*増量・減量する場合は 25mg ずつ行います。
*服用する間隔は4~6時間ごとに定時に服用してください。
*服用を始めてから、4週間を経過しても望むような効果が得られない時は、治療の変更を検討していきます。
*75歳以上の方は300mgを超えないことが望ましいです。
ツートラムの用量用法
通常はトラマドール塩酸塩として1日100~300mgを2 回に分けて服用してください。
ただし1 回200mg、1日400mgを 超えないようにしてください。
*症状により変わります。
*初めて服用する場合は、なるべく50mg から服用を初めて行くことが望ましいです。
*投与間隔は1日2 回とし、朝、夕に服用することが望ましいです。
*増量・減量する場合は1回50mg、1日100mgずつ行います。
*服用を始めてから、4週間を経過しても望むような効果が得られない時は、治療の変更を検討していきます。
*75歳以上の方は300mgを超えないことが望ましいです。
ワントラムの用量用法
通常はトラマドール塩酸塩として100~300mgを1 日1回経口投与する。
ただし、1日400mgを超えないようにしてください。
*症状により変わります。
*初めて服用する場合は、なるべく100mg から服用を初めて行くことが望ましいです。
*服用はできるだけ同じ時間帯にしてください。
*増量・減量する場合は1日100mgずつ行います。
*服用を始めてから、4週間を経過しても望むような効果が得られない時は、治療の変更を検討していきます。
*75歳以上の方は300mgを超えないことが望ましいです。
飲み忘れたときの対応
・気がついた時点で1回分を服用してください。
・気がついた際の時間と次に飲む時間の間隔が短い際は、飲み忘れたお薬は服用せず、次に服用する時間に1回分を服用してください。
・2回分を一度に服用することはしないでください。もしも多く服用してしまった場合、医師または薬剤師に相談してください。
服用の仕方
錠剤の場合
コップ1杯の水もしくはぬるま湯で服用してください。
OD錠(口腔内崩壊錠)の場合
唾液や少量の水で溶けるお薬になっています。口の中に入れて唾液で溶かして服用することもできますし、口の中で溶かさずに通常通りお水やぬるま湯で服用することもできます。
薬を中断するとき
服用量が減る場合や中断する際は、必ず医師の指示に従ってください。
減量していく時に退薬症状が発現することがあります。必要なくなり中断する際は徐々に減量していきます。自己判断で服用量を変えたり、中断することはしないでください。
トラマールの注意事項
・トラマールによる治療は痛みの原因を取り除くものではないです。
・長期間使用することにより、耐性、精神的依存、身体的依存を生じることがあります。その為、トラマールを中断したり、減量する際に、不安、不眠症、振戦、胃腸症状、パニック発作、幻覚、錯感覚、耳鳴等の退薬症状が発現することがあります。
・気持ち悪くなる、嘔吐、便秘等の症状が発現することがあります。その対策として、気持ち悪くなる・嘔吐には制吐剤、便秘には下剤の併用をしていきます。
・眠気、めまい、意識消失が起こることがあります。自動車や自転車の運転、高所での作業など危険な作業はしないように注意してください。
・アルコールによりトラマールの作用が強まり、副作用が発現しやすくなるので、トラマール服用中は飲酒はひかえてください。
副作用
・呼吸困難、喘鳴(ヒューヒュー音)、眼や口唇のまわりのはれ [ショック、アナフィラキシー]
・呼吸回数が減る、息苦しい [呼吸抑制]
・筋肉が発作的に収縮する [痙攣]
・服用を中止しようとしても止められない、不眠、不安 [依存性]
・意識がなくなる [意識消失]
[ ]で示した副作用が現れる際に、最初に現れる症状になります。
このような症状が出た場合には、すぐに医師または薬剤師に相談してください。
小児への投与
・12歳未満の小児への投与は禁忌となっており、投与はできないです。
妊婦・授乳婦の方へ
・妊婦または妊娠している可能性がある人、授乳婦は医師に相談してください。
複数の医療機関を受診されている方へ
・複数の医療機関を受診する場合や、薬局などで他の薬を購入する場合は、必ずこの薬を飲んでいることを医師または薬剤師に伝えてください。
保管方法
・お子様の手の届かないところに保管してください。
・室温(1~30℃)で、日光や湿気を避けてください。
・薬が残ってしまった時は、お薬を受け取った薬局にて廃棄方法を相談し、保管はせずに廃棄するようにしてください。
山形県寒河江市の整形外科 おやま整形外科クリニックの処方箋
当院では門前薬局の椿メディカル様を中心に、各薬局様で取り換えていただくことのできる処方箋を発効しております。ご自分のかかりつけ薬局にて、必ず3日以内に引き換えてもらいましょう。3日を過ぎるとお薬に変えてもらえなくなってしまいます。お気を付けください。
治療費
現在の薬価(2021年10月時点)
1割負担 | 2割負担 | 3割負担 | |
先発品 | 約***円 | 約***円 | 約***円 |
後発品(ジェネリック) | 約***円 | 約***円 | 約***円 |
まとめ
トラマールは神経障害性疼痛、侵害性疼痛のどちらにも対応ができ、またがんによる痛みにも使用できるお薬になっています。
モルヒネのように麻薬ではありませんが、身体依存、精神依存、耐性がつくお薬になりますので医師、薬剤師の指示に従って服用するようにしてください。
万が一、体調に変化がありましたら必ず医師、薬剤師に相談してください。安全にお薬を使用しながら治療を進めていきましょう。
監修薬剤師・医師
- 仲上 大貴(なかがみ だいき): 薬剤師…志薬塾塾長(https://haru001.wixsite.com/kaeru/blank-2)
- 小山 翔平(おやま しょうへい): 日本整形外科学会 認定専門医…おやま整形外科クリニック 院長
山形県寒河江市の整形外科 おやま整形外科クリニックの院長紹介
氏名: 小山 翔平(おやま しょうへい)
出身地: 山形県寒河江市
資格: 日本整形外科学会 認定専門医