山形県寒河江市の整形外科 おやま整形外科クリニックのお薬説明
キシロカインとは
末梢神経から中枢神経への刺激の伝導、伝達をブロックすることで鎮痛効果を示す局所麻酔薬の1種になります。
局所麻酔薬はアミド型とエステル型に分類されます。
これらは体内での分解過程に違いがあります。
エステル型は血中にあるコリンエステラーゼと言われる酵素により簡単に分解されてしまいます。それに対してアミド型は血中にあるコリンエステラーゼによる分解はされず、肝臓で別の酵素のよって分解されます。
そのため、エステル型の方が分解が早くなります。
キシロカインの作用・効果
局所麻酔薬とは末梢神経と言われる四肢や臓器と中枢神経をつなぐ神経をブロックすることで特に痛覚を感じにくくする方法です。
まず、神経についてになります。
神経には中枢神経(脳、脊髄)と末梢神経があります。
末梢神経には痛覚など感覚に関わる刺激を中枢神経に伝達する知覚神経、脳からの指令を伝えて実際に筋肉を動かす運動神経、それ以外に自律神経と言われる交感神経、副交感神経も分類されます。
痛みを感じるメカニズムとしては、火傷や骨折、肩こりの原因となる肩関節周囲の炎症などが刺激となり、この刺激が末梢神経である知覚神経を通じて、脊髄に伝達され、さらに脳へと伝えられることで痛みとして感じます。
局所麻酔薬は知覚神経や末梢神経がたくさん集まる神経叢をブロックし、脊髄や脳へ刺激が伝わらないように働くことで痛みを和らげます。
具体的には、知覚神経による刺激の伝導は神経細胞外より神経細胞内にナトリウムが流入することで伝わっていきます。神経細胞内にナトリウムを流入はナトリウムチャネルを介して起こります。
局所麻酔薬は神経細胞内に移行して、細胞内からナトリウムチャネルを遮断することで知覚神経による刺激の伝導・伝達を抑え、痛みを和らげます。
局所麻酔薬であるキシロカインはこのよう生体内で作用し、鎮痛効果を示します。
キシロカインにはアドレナリンと呼ばれる血管収縮薬が配合されている製剤もあります。
局所麻酔薬は鎮痛効果を示したい部位の末梢神経組織内に留まって作用することで効果を示します。そのため末梢神経組織内に留まっていることが理想であり、血管内に移行してしまうと鎮痛効果が減弱してしまいます。また、血管内に移行してしまうことで全身に薬が行き渡り副作用のリスクが高まります。
そのため、アドレナリンのような血管収縮薬を投与することで血管を収縮させて、鎮痛効果を示したい部位の血液量を一時的に減らすことで局所麻酔薬の血管内への移行を遅らせて、鎮痛効果の作用している時間を延長させ且つ副作用のリスクを減らします。
キシロカインの使い方
用量用法
アドレナリン配合の場合(キシロカイン注射液 エピレナミン(1:100.000)含有)
通常、成人に対して1回0.5%液100mL、1%液50mL、2%液25mL(リドカイン塩酸塩として500mg)を基準最高用量とします。
各種麻酔方法による用量は次表のとおりになります。
( )内はリドカイン塩酸塩として、〈 〉内はアドレナリンとしての用量である。
麻酔方法 注射液0.5% 注射液1% 注射液2%
硬膜外麻酔 5~30mL
(25~150mg)
〈0.05~0.3mg〉 10~30mL
(100~300mg)
〈0.1~0.3mg〉 10~20mL
(200~400mg)
〈0.125~0.25mg〉
硬膜外麻酔 [交感神経遮断 5~20mL
(25~100mg)
〈0.05~0.2mg〉
伝達麻酔 3~40mL
(15~200mg)
〈0.03~0.4mg〉 3~20mL
(30~200mg)
〈0.03~0.2mg〉 2~20mL
(40~400mg)
〈0.025~0.25mg〉
伝達麻酔 [肋間神経遮断] 5mLまで
(25mgまで)
〈0.05mg〉 5mLまで
(50mgまで)
〈0.05mg〉
浸潤麻酔 2~40mL
(10~200mg)
〈0.02~0.4mg〉 2~40mL
(20~400mg)
〈0.02~0.4mg〉 2~25mL
(40~500mg)
〈0.025~0.3125mg〉
浸潤麻酔 [眼科領域麻酔] 0.5~2mL
(10~40mg)
〈0.00625~0.025mg〉
表面麻酔 適量を塗布 又は噴霧する 適量を塗布 又は噴霧する
アドレナリンを含まない場合(キシロカイン注 ポリアンプ0.5%)
麻酔方法 キシロカイン注 ポリアンプ0.5% キシロカイン注 ポリアンプ1% キシロカイン注 ポリアンプ2%
硬膜外麻酔 25~150mg
(5~30mL) 100~200mg
(10~20mL) 200mg
(10ml)
硬膜外麻酔 [交感神経遮断] 25~100mg
(5~20mL)
伝達麻酔 15~200mg
(3~40mL) 30~200mg
(3~20mL) 40〜200mg
(2〜10ml)
伝達麻酔 [指趾神経遮断] 15~50mg
(3~10mL) 30~100mg
(3~10mL) 60〜120mg
(3〜6ml)
伝達麻酔 [肋間神経遮断] 25mgまで
(5mLまで) 50mgまで
(5mLまで)
浸潤麻酔 10~200mg
(2~40mL) 20~200mg
(2~20mL) 40〜200mg
(2〜10ml)
表面麻酔 適量を塗布 又は噴霧する 適量を塗布 又は噴霧する
キシロカインの注意事項
アドレナリンを投与するまたは配合されている場合
高血圧、狭心症、甲状腺機能亢進、糖尿病のある患者及び血管攣縮の既往のある患者は注意してください。
アドレナリンの作用により、血圧の上昇や血糖値の上昇、心拍数の増加などの症状が現れることがあります。
副作用
・ショック:徐脈、不整脈、血圧低下、呼吸抑制、チアノー ゼ、意識障害等が起こる
・意識障害、振戦、痙攣:意識障害、振戦、痙攣が起こる
このような副作用が起こる可能性があります。投与後、このような症状や違和感等ありましたらすぐに医師や薬剤師に相談してください。
妊婦・授乳婦の方へ
・妊婦または妊娠している可能性がある人、授乳婦は医師に相談してください。
複数の医療機関を受診されている方へ
・複数の医療機関を受診する場合や、薬局などで他の薬を購入する場合は、必ずこの薬を飲んでいることを医師または薬剤師に伝えてください。
山形県寒河江市の整形外科 おやま整形外科クリニックの処方箋
当院では門前薬局の椿メディカル様を中心に、各薬局様で取り換えていただくことのできる処方箋を発効しております。ご自分のかかりつけ薬局にて、必ず3日以内に引き換えてもらいましょう。3日を過ぎるとお薬に変えてもらえなくなってしまいます。お気を付けください。
治療費
現在の薬価(2021年10月時点)
1割負担 | 2割負担 | 3割負担 | |
先発品 | 約***円 | 約***円 | 約***円 |
後発品(ジェネリック) | 約***円 | 約***円 | 約***円 |
まとめ
キシロカインは局所麻酔薬として注射で用いられるお薬です。
内服で用いるNSAIDsやリリカなどとは違った作用で鎮痛効果を示します。
キシロカインだけでなく、アドレナリンも使用するもしくは製剤中に含まれている場合があります。安全に使用するためにも持病をお持ちの方やお薬をすでに服用されている方は医師に相談してください。
監修薬剤師・医師
- 仲上 大貴(なかがみ だいき): 薬剤師…志薬塾塾長(https://haru001.wixsite.com/kaeru/blank-2)
- 小山 翔平(おやま しょうへい): 日本整形外科学会 認定専門医…おやま整形外科クリニック 院長
山形県寒河江市の整形外科 おやま整形外科クリニックの院長紹介
氏名: 小山 翔平(おやま しょうへい)
出身地: 山形県寒河江市
資格: 日本整形外科学会 認定専門医