「ばね指」のリハビリ

・手の指には、指を曲げるための腱と腱鞘（腱を抑えるバンドのようなもの）があり、腱鞘というトンネルのなかを腱が動くことで指の曲げ伸ばしができます。しかし、何らかの原因で腱と腱鞘が炎症を起こして、よく耳にする腱鞘炎となります。それがさらに進行して腱が肥大化し、腱鞘に引っかかるようになるとばね指（弾発指）となります。指が曲がったまま伸びにくくなるのは、腱が肥大化し、スムーズにトンネル（腱鞘）を通り抜けられなくなるためです。この擦れ合う時に痛みを感じ、急激にトンネルを通り抜けると、カクンと跳ねるように指が伸びます。

・症状は、腱鞘炎と同様、痛み、腫れ、熱感を感じます。また指が伸びにくいままで長期間放置してしまうと関節拘縮などにつながります。

・ばね指の原因は、家事や仕事、スポーツなど指や手の使いすぎと言われており。出産前後の女性や更年期の女性に多く、関節リウマチや糖尿病の持病がある方にも発症しやすい傾向にあります。共通して、手先の血行不良が関連していると言われています。また好発指は親指、中指にみられやすいと言われています。好発部位は指の付け根の関節（第3関節：正式にはMP関節という）です。この位置の腱のトンネル（滑車）をA1プーリーと言います。

治療には、保存療法（安静、装具療法、ストレッチやマッサージなどのリハビリ、薬物療法）、注射（ステロイド）、手術療法（腱鞘切開）が挙げられます。

リハビリでは、患者の状態に合わせて治療法を選択していきます。

主な項目は以下の通りです。

・安静

・装具療法

・物理療法

・ストレッチ

・マッサージ

・筋力トレーニング

・食事療法

ばね指は、指の使いすぎにより発症しやすいため、安静にさせることを第一に考えて治療を進めていきます。炎症が治まるまで安静にするのが理想ですが、気づいていないうちに指を酷使していることもあり、意識的に安静にすることはなかなか難しいのが現状です。

ご自身で意識的に安静にするのが難しい方は、装具療法（サポーターやテーピング、プラスチックなど）がおこなわれることがあります。強制的に固定するため、日常生活では不便を生じることがあります。着用期間には個人差があります。装具を装着してもすぐに炎症が治まるわけではないため、長期間装着する可能性もあります。

・手の使いすぎで炎症が生じ、熱感がある場合には、アイシングが有効です。患部を冷やし腱の炎症を抑えます。反対に血流の悪さからの手がこわばる、痛みが続くような場合には、お湯などで手を温めで血流を改善することが有効です。

・また当クリニックでは超音波や電気による治療を行います。超音波や電気刺激にて深層の腱に刺激を与え血流の改善を促します。痛みが生じるか、腱の状態はどうかなど判断して実施していきます。

・症状の出ている指の付け根あたり（A1プーリー）をマッサージします。小石のような小さいしこりがある場合は、軽い力でほぐすように10分程度行いましょう。

・指を曲げる筋肉をストレッチします。指・手首を反らすようにストレッチします。注意点として、このストレッチにて痛みが生じる場合は、かえって腱を損傷し症状が悪化する可能性もありますので、無理なストレッチはやめましょう。担当療法士と相談することをお勧めします。

・痛みが伴い、指を動かさないままでいると、関節拘縮を伴うことがあります（特に第2関節：PIPが伸びにくいことが多い）。腱のストレッチとは別に、関節の曲げ伸ばし（ストレッチ）が必要です。痛みが伴わない範囲で動かしましょう。＊症状によって個別に指導しますので、当院にて相談して頂ければと思います。

・また指だけでなく手のひらや手首、腕（前腕）のストレッチ、マッサージなども効果的です。手首の前後左右の動きが硬くなっていないか、硬ければ手首のストレッチを行います。また手首～肘までの皮膚や筋肉が硬ければ、指圧のように軽い力で5～10分程度ほぐし、血流を改善させましょう。また手のひらの親指側と小指側のふくらみ（母指球筋・小指球筋）も軽くほぐしましょう。

血流を改善することで、老廃物の排出が促され、腱の肥大化を軽減させる効果が期待できます。血流循環の視点から考えると、肩や首の姿勢なども間接的に重要なポイントとなります。さらには、水分摂取も大切です。1日1～２Lを目安に摂取をしましょう。

＊利尿作用があるものは控えましょう。

・虫様筋と骨間筋の運動

この二つは手のひらの中にある筋肉ですが、この動きが悪いことで指の腱に負担がかかります。また腱鞘の部分で癒着が起こらないように予防目的にも有効です。

第1関節（DIP）、第2関節（PIP）を伸ばした状態で、指の付け根の第3関節（MP）だけを曲げ伸ばしします（＊親指だけはDIP・PIPをまとめて第1関節IPとするので、2番目の関節がMP関節となります）。以下の2種類を紹介します

① 手首を反らした状態で、MP関節のみ曲げ伸ばし15回×3（虫様筋）

② 手首を手のひら側に曲げて、MP関節のみ曲げ伸ばし15回×3 （骨間筋）

（親指、2～4指と分けて運動しましょう）

・筋肉を緩める自主トレ

第一関節（DIP）・第二関節（PIP）を伸ばした状態で、指の付け根の関節（MP）をゆっくり曲げ1～2分程度、そのまま保持する。リラックスした肢位を保つことで緊張が落ち、スムーズに動きやすくなることが期待できます。指を戻す際はゆっくり戻しましょう。

痛みのある手はリラックスし、力を入れず、痛みのない手で患指を曲げたり伸ばしたりと軽く、ゆっくり動かす（他動運動）。反対の手で他動的に動かすときに、痛みがある指に力が入らないように注意しましょう。徐々に痛みがなく曲げ伸ばしができるようになってきたら、今度は自分の意志で患指を動かす＋反対の手で動かしながら、自動介助運動を行いましょう。目安は動きが初めよりもスムーズになったと感じる程度まで回数をこなしましょう。

おやま整形外科クリニックでは医師の診察で必要と判断された場合にリハビリ行うことができます。リハビリは運動療法と物理療法に分かれます。”運動療法”では歩き方、関節の曲げ伸ばし方法などを、理学療法士をはじめとしたリハビリスタッフが温かく・丁寧に訓練させていただきます。”物理療法”ではマッサージ、衝撃波、超音波、電気、レーザーなど、最新の治療機器を用いて施術します。

またこれらの治療に使用する器具・機械は、インターリハ株式会社様ご協力のもと、国内・海外のメーカを問わずプロ野球チーム・プロサッカーチームも採用している最新の治療機器を準備・輸入しております。

スタッフもリハビリ室・リハビリ器具も最新鋭で最高の環境を整えておりますので、是非当院でのリハビリをご検討ください。

おやま整形外科クリニックでの治療費の例

※上記はあくまで一例です。患者さまのご年齢・レントゲンの必要撮影枚数・処方箋の内容・リハビリの内容などにより、前後することがございます。ご理解いただけますと幸いです。

1. 日塔 善之（にっとう よしゆき）: 日本理学療法士協会 認定理学療法士…おやま整形外科クリニック リハビリ部長
2. 小山 翔平（おやま しょうへい）: 日本整形外科学会 認定専門医…おやま整形外科クリニック 院長

氏名: 小山 翔平（おやま しょうへい）
出身地: 山形県寒河江市
資格: 日本整形外科学会 認定専門医