「腰椎分離症」のリハビリ

「腰椎分離症」のリハビリ

山形県寒河江市の整形外科 おやま整形外科クリニックのリハビリ解説


概要

腰椎分離症とは、過度のスポーツや腰をねじる動きなどの負担によって、腰椎の後方部分が疲労骨折(分離)する病気です。 腰椎分離症は、骨が未発達である10代の成長期の子どもが、スポーツの練習などで繰り返し腰に負担をかけることで発症する例が多く報告されています。また、スポーツ選手の約30%が腰椎分離症であるともいわれています。 

原因

腰椎分離症は運動に関連して発症することが多く、スポーツをしている子どもに多い病気です。物理的な負担がかかる行動(ジャンプや腰が回旋する運動)を繰り返すことで、椎弓狭部(関節突起間部)に疲労骨折が生じて、腰椎分離症が引き起こされます。 腰椎分離症は、腰椎に圧力がかかり骨折することによって生じます。脊椎(背骨)の一部である腰椎は、第1腰椎から第5腰椎までの5つの椎骨によって構成されています。この椎骨の前方部分を椎体、後方の部分を椎弓といいます。椎弓の一部は衝撃に弱く、ジャンプや腰をねじるなどの激しい運動の繰り返しでひびが入り、さらに圧力が加わることで疲労骨折を起こすことがあります。分離を起こす部位は、傾斜がきつく圧力のかかりやすい第5腰椎であることがほとんどです。

症状

腰椎分離症は、腰痛がきっかけで発見されることが多いです。腰痛そのものは誰もが感じるようなありふれた症状ですが、腰椎分離症は体勢によって症状が変わることが特徴です。腰椎後部の神経組織を保護している椎弓の一部が分離するため、上体を後ろに反らす(後屈)動作をすると、痛みを感じるケースが多くみられます。完全に骨が折れてしまい、痛いまま長期間放置していると分離が完成してしまい、分離部は偽関節(ぎかんせつ)というグラグラな状態になり、治りにくい状態になります。このときは、主に腰痛や下肢痛が生じます。また偽関節となった分離部は、周囲に骨の棘(とげ)が発生し、神経と接触することで下肢痛を引き起こすことがあります。長時間座っていたり、立っていたりしても症状を感じ、さらには歩行時にも下肢痛やしびれなどの症状が出てくることがあります。若い頃の腰痛を放置した方で、年をとってからも腰痛を持病で持っている方の中に、この分離症による偽関節を認めることがあります。 腰椎分離症が治療されず長期間経過すると、骨の分離が引き金となって、腰椎が前方や後方にずれることがあります。すると、徐々に脊柱管内部の馬尾神経などを圧迫するようになり、下肢痛やしびれを生じることがあります。これを分離すべり症と呼びます。腰椎分離すべり症を発症すると、さまざまな神経症状が起こります。異常感覚(ピリピリ、ジワジワといったような感覚)、足の筋力低下、排尿・排便障害などが症状として挙げられます。 

検査・診断

腰椎分離症では、レントゲン、CT、MRIなどの画像検査が行われます。レントゲン写真では、病状が進行していると椎弓の分離が確認できます。分離部分は、症状が進むと犬の首輪のような「スコッチテリアサイン」と呼ばれる像を呈します。CT、MRI検査では、レントゲンではわからない疲労骨折の初期を発見できます。この状態で治療を開始することが勧められます。また、神経の圧迫の程度や、分離部がどこであるかを調べることができます。画像検査を組み合わせることで、より詳細に腰椎分離症の状況を評価することが可能です。 

治療

腰痛分離症は発症後早期であれば、多くの場合、手術を避けて治療することが可能です。腰椎分離症は、初期の段階であれば局所の安静や鎮痛剤などの保存療法(手術を避ける治療)が有効です。そのためには早期に発見することが重要です。激しいスポーツに伴って発症することから、まずは原因である運動を一時的にやめることが求められます。加えて、腰部の安静を保つために硬性コルセットを使用します。こうした治療により、分離した腰椎の癒合と痛みの消失が期待されます。そのほか、骨盤周囲の筋肉を伸ばすストレッチと筋肉の強化を行うことが有効です。治療後は症状や画像所見を確認しながら安静解除や運動の開始を検討していきます。分離症が治っていなくても強い痛みが持続することは多くありません。腰痛を繰り返すことがありますが、ほとんどは保存治療で改善し、日常生活に支障が出ることは少ないようです。腰痛予防には、腹筋・背筋の強化などが大切です。保存療法を行っても痛みが治まらない場合や神経症状がある場合には、手術的な治療介入を行います。腰椎分離症から腰椎すべり症まで病状が進行している場合には、脊椎固定術を行います。 

腰椎分離症は、腰椎に伸展や回旋ストレスがくり返し加わる事によって生じるため、このようなストレスを軽減させるトレーニングを行ないます。 

リハビリテーション

リハビリにより機能改善を図りながら疼痛の程度に応じて段階的にスポーツに復帰します。機能改善を図りながら競技復帰を目指す場合においては、(1脊柱や股関節の可動性の改善、(2体幹深部筋の強化、(3体幹深部を意識した動作の獲得を目的にリハビリを行います。いくつか例をあげたいと思います。

(1)脊柱や股関節の可動性の改善

背骨や股関節、肩関節の正常な運動を獲得する事が最初の課題となります。股関節や胸部、肩関節の動きが小さいと腰部が代償して大きく動いてしまい、腰への負担が増大します。そのため、股関節や胸部、肩関節可動域の改善を行います。

①殿部(おしり)のストレッチ

仰向けになり、左膝を立てた状態で右足首を左太ももにのせます。両手を左すねに回し、左太ももを胸に近づけるように引っ張ると右のおしりの筋がストレッチされます。 

②腸腰筋(股関節の付け根)のストレッチ

股関節の前面が硬い場合、後屈(後ろに身体を反る動作)を行う際に骨盤が後ろに傾かず、腰椎の伸展(反る)運動が大きくなり伸展ストレスがかかります。両下肢を前後に開き、右の股関節を前方に押し出すようにすると右の腸腰筋がストレッチされます。腰を反らし過ぎると痛みが強くなる場合があるので注意が必要です。 

③胸椎(背中)を反らすストレッチ

胸椎が硬いと後屈したときに腰椎にストレスがかかるので、胸椎のストレッチを行います。両手両膝を床につき四つ這いとなり、その状態から背中を反らしながらお尻を後ろにひくと胸椎がストレッチされます。 

④肩関節周りを伸ばすストレッチ

肩周囲の筋肉が硬く、腕がスムーズに上がらないと腰を反ることで代償することがあります。そのため肩甲骨・肩関節のストレッチを行います。立位姿勢で壁に両手をつけたまま腕を挙げられるところまで挙げます。その状態から手は壁につけたまま、肩や脇の筋肉が伸びるように、体を壁側に近づけるもしくは体を前下方に下げることで、肩周りのストレッチを行います。

(2)体幹のインナーマッスルの強化

他の腰痛症と同様に腹筋や背筋のトレーニングが大切です。特に深部の筋群(インナーマッスル)の活動が骨盤帯や背骨の安定性に大きく関わるため、筋力トレーニングを行います。体幹のトレーニングは単一の姿勢のみでなく様々な姿勢でのトレーニングを組み合わせると効果的です。

①腹筋運動

両膝を立てて仰向けに寝ます。おへその下に力を入れた状態からゆっくりと頭から肩甲骨という順番で身体を起こして行きます。膝に手が届いたらゆっくりと身体を元の状態へ戻して行きます。勢いをつけて行うと症状が悪化する可能性があるため注意しましょう。 

②上下肢交互挙上運動

四つ這いのように両手両膝を床につき、お腹に力を入れます。上半身を水平に保ったまま、右手左足のように対角線に手足を上げ腹筋と背筋を鍛えます。お腹の力が抜けて腰を反って行うと腰に負担がかかるので注意しましょう。 

(3)体幹のインナーマッスルを意識した動作の獲得

スポーツにおいては、背骨を最大限に反ったり捻ったりする動作が行われるため、スクワット姿勢やスイング動作など様々な運動の中で正常な筋活動が生じるように運動学習をしていく必要があります。例えば、体幹深部の筋肉をしっかりと活動させた状態で様々なスポーツの特異性のある動きの練習を行います。

①スクワット姿勢で体幹を意識する練習をした後に前方への移動やジャンプ動作など様々な動作時に体幹を意識する練習を行います。

②体幹を意識し、背骨の回転軸をまっすぐに保ったまま走行の腕振りや投球動作などの身体を回旋する動作へと発展させていきます。

山形県寒河江市の整形外科 おやま整形外科クリニックのリハビリの特徴

おやま整形外科クリニックでは医師の診察で必要と判断された場合にリハビリ行うことができます。リハビリは運動療法と物理療法に分かれます。”運動療法”では歩き方、関節の曲げ伸ばし方法などを、理学療法士をはじめとしたリハビリスタッフが温かく・丁寧に訓練させていただきます”物理療法”ではマッサージ、衝撃波、超音波、電気、レーザーなど、最新の治療機器を用いて施術します

またこれらの治療に使用する器具・機械は、インターリハ株式会社様ご協力のもと、国内・海外のメーカを問わずプロ野球チーム・プロサッカーチームも採用している最新の治療機器を準備・輸入しております。

スタッフもリハビリ室・リハビリ器具も最新鋭で最高の環境を整えておりますので、是非当院でのリハビリをご検討ください。

治療費

おやま整形外科クリニックでの治療費の例

1割負担2割負担3割負担
初診の診察
レントゲン
リハビリ
処方箋
約***円約***円約***円
再診の診察
物理療法
(電気治療、ウォーターベット)
約***円約***円約***円
再診の診察
運動器リハビリ
(理学療法士)
約***円約***円約***円
再診の診察
膝関節注射
運動器リハビリ
(理学療法士)
約***円約***円約***円

※上記はあくまで一例です。患者さまのご年齢・レントゲンの必要撮影枚数・処方箋の内容・リハビリの内容などにより、前後することがございます。ご理解いただけますと幸いです。

動画提供

おやま整形外科クリニック YouTube チャンネル: おやま整形外科クリニック

「腰のリハビリ」より

監修

  1. 日塔 善之(にっとう よしゆき): 日本理学療法士協会 認定理学療法士…おやま整形外科クリニック リハビリ部長
  2. 小山 翔平(おやま しょうへい): 日本整形外科学会 認定専門医…おやま整形外科クリニック 院長

山形県寒河江市の整形外科 おやま整形外科クリニックの院長紹介

氏名: 小山 翔平(おやま しょうへい)
出身地: 山形県寒河江市
資格: 日本整形外科学会 認定専門医