【応急処置: RICE】捻挫、打撲などへの初期対応

【応急処置: RICE】捻挫、打撲などへの初期対応

山形県寒河江市の整形外科 おやま整形外科クリニックの疾患説明

応急処置: RICE とは?

  • 部活中に足首をひねった
  • 仕事中に機械に指を挟まれた
  • タンスに足の小指をぶつけた

皆さんも思い当たることはありませんでしょうか?このような捻挫、打撲、つき指が疑われるとき、

「いますぐ救急車を呼べ!」
「病院につれて行くぞ!」

と考える方もいらっしゃるかもしれません。しかし、冷静になりましょう。その前にまず応急処置をしていただくのが非常に重要ですし、適切に応急処置ができていれば病院やクリニックを受診するのは落ち着いてからで十分です。まずは怪我した直後以上に痛みや腫れが悪化しないように、しっかりと応急処置をするのが先決です。

「応急処置か…。いざやれといわれるとどうするといいか分からないなぁ…」

という方のために、最も効果的な応急処置の方法についてご案内していきます。

RICE

これからの説明を見ていただくと「原始的だなぁ。」と感じる方もいるかもしれませんが、医療が発展してきている現在でも応急処置はこの簡単な方法が最も効果的だといわれています。それが RICE です。私たち医師や医学生が救急医学の講義の中で必ず学ぶほど、医学的にも非常に効果的な応急処置になります。

R: Rest(安静)
I: Icing(冷却)
C: Compression(圧迫)
E: Elevation(挙上)

の頭文字をとって RICE です。

そもそも痛みの原因って?

応急処置のお話をする前に、外傷を受けたときの痛みの原因についてお話しします。冒頭で挙げた例のように、

・部活中に足首をひねった
・仕事中に機械に指を挟まれた
・タンスに足の小指をぶつけた

などで怪我を負うと、怪我した場所から数種類の “サイトカイン” という物質が発生します。そのサイトカインがアラキドン酸カスケードという炎症のドミノを倒すと、プロスタグランジン・トロンボキサン・ロイコトリエンなどの痛みを起こす物質が次々と連鎖的に生成され強い炎症を引き起こします。そして炎症が悪化してくることで私たちは「発赤」「熱感」「腫脹」「疼痛」という症状として炎症を自覚できるようになるのです。

  • 発赤: 怪我の周囲が赤くなる
  • 熱感: 怪我の周囲が熱をもち熱くなる
  • 腫脹: 怪我の周囲が腫れて、むくんでいる
  • 疼痛: 怪我の周囲が痛くてズキズキする

このように”炎症”が発生し、その影響で発生してきた各種の症状”を効果的に抑える方法RICE という応急処置になります。全ては炎症を抑え込むための応急処置になりますし、私たち医師が病院やクリニックで行う内服薬・注射・ギプスなどの治療も、この痛みの原因となっている炎症を取り除くことが目的です。

RICE の方法

では、RICE について、それぞれ詳しく見ていきましょう。用意するものは以下の通りです。

(画像引用)一般社団法人日本整形外科スポーツ医学会「スポーツ損傷シリーズ3」より


Rest:安静

怪我したときより血管や神経の状態を悪化させないように、とにかく安静にします。具体的には

  • 動かさない
  • 体重をかけない

という2点が基本です。また副え木(そえぎ)できるようなもの(段ボールやハンガーなどでも代用可能)があれば、患部に当てて包帯やタオルで固定しましょう。怪我した部位を固定することでより安静度が高くなり、怪我した時点以上に組織の損傷が広がらないようにケアできます。私が医師として診察してきた経験から、責任感の強い患者さんほど

「仕事があるから、無理してでも歩かなきゃいけないんです…」
「みんなのご飯を作らなきゃいけないから、買物にいなくちゃ…」

と、怪我しても無理して歩こうとしてしまいます。そうなると、怪我した時よりも筋肉・靭帯・関節・骨・神経などが悪化していき、さらに炎症もどんどんと強さを増していき痛みが強くなる一方となります。そうならないように、怪我した時くらいは家族・友人・同僚に甘えて、治療を優先させましょう。

(画像引用)一般社団法人日本整形外科スポーツ医学会「スポーツ損傷シリーズ3」より


Icing:冷却

このアイシングが最も重要であり、アイシングの最も効果的な方法は“氷で冷やす”ことです。具体的にはビニール袋などに氷を入れて、その袋を患部に当て 15~20分ほど冷やします。十分に冷えたら一度氷を外して様子を見ます。その後また痛みや熱っぽさが出てくるようなら再度15~20分ほど冷やします。この冷却と安静を繰り返すようにしましょう。また、怪我の直後だけではなく、仕事などで患部に負担をかけたあとや、お風呂・シャワー後などは炎症が悪化している可能性が高いですので、そのあとにはしっかりとアイシングするようにしください。

最近では 100円均一にも“氷嚢”や“アイスバッグ”などの名称で冷却用の袋がられておりますので、そちらを購入するといいでしょう。氷で冷やすというと原始的なように感じる方もおられますが、これが最も効果的です。逆に冷えピタシールや湿布などには冷却効果はほとんどありません。とにかく、氷で繰り返し冷やすことを意識してみてください。

(画像引用)一般社団法人日本整形外科スポーツ医学会「スポーツ損傷シリーズ3」より

Compression:圧迫

患部にスポンジなどを当て、包帯やテーピングで巻いて圧迫してください。これにより腫れや出血を防ぐ作用があるといわれております。この時に強く圧迫しすぎると血管や神経に負担をかけることもありますので、痛みを伴うほど強く圧迫するのは避けてください。応急処置中に、この Compressionまで手が回らない人もいると思いますが、安静・冷却・挙上などの他の処置ができていれば十分に応急処置の効果は認められます。圧迫に関しては余裕があれば行うようにしてください。

(画像引用)一般社団法人日本整形外科スポーツ医学会「スポーツ損傷シリーズ3」より


Elevation:挙上

心臓より患部を高くすることで腫れや出血を防ぐことができます。足を怪我したようであれば、足の下に布団や枕を置いてお休みになるという方法が最も楽に挙上できる方法です。手の怪我であれば万歳のようにして手を挙げて高い位置にキープすることも検討されますが、非常につらい体勢だと思います。その場合は、無理せず安静と冷却(アイシング)、圧迫を優先して下さい。

(画像引用)一般社団法人日本整形外科スポーツ医学会「スポーツ損傷シリーズ3」より

山形県寒河江市の整形外科 おやま整形外科クリニックの治療の特徴

当院ではこの応急処置を非常に重要視しております。患者様自身に正しい知識を身に着けていただき、正しい応急処置をおこなうことで怪我の回復具合を早めることが可能となるからです。この記事を参考にしていただいても応急処置について不明な点がありましたら是非スタッフにお声がけください。実際の応急処置の方法をご案内させていただきます。

治療費

この応急処置は患者様皆さまが行っていただくものであり、当院での治療ではありません。そのため、治療費の設定はありません。

まとめ

以上が RICE という応急処置の方法になります。RICE は打撲や捻挫など、多くの外傷に対してすぐに行うことが可能な手当です。部活動中のつき指、通勤途中の捻挫、仕事中の打撲など、もし怪我をした場合はこの記事を思い出していただき、積極的に行うようにしてください。皆さんの痛みを早くとることが可能になり、また仕事やスポーツへの復帰も早めることができます。体への負担・リスクもなく行える非常に優秀な手当になりますので頭の片隅に置いていていただければ幸いです。

画像提供

一般社団法人日本整形外科スポーツ医学会

「スポーツ損傷シリーズ3」より

動画提供

合同会社 Medivery 運営 YouTube チャンネル: "Medivery 大学病院"

「つき指やすり傷、ひねり傷に対しての正しい処置方法とは?【RICE】」より

監修医師

小山 翔平(おやま しょうへい): 日本整形外科学会 認定専門医…おやま整形外科クリニック 院長

山形県寒河江市の整形外科 おやま整形外科クリニックの院長紹介

氏名: 小山 翔平(おやま しょうへい)
出身地: 山形県寒河江市
資格: 日本整形外科学会 認定専門医