ばね指

ばね指

山形県寒河江市の整形外科 おやま整形外科クリニックの疾患説明ばね指とは

「ばね指」という病名を聞いたことがある人は多いのではないでしょうか?「弾発指(だんぱつし)」といったりもします。実はこのばね指は腱鞘炎の成れの果てで、日常でよく手を使う人に多いご病気です。腱鞘炎が進行すると曲がったまま動かなくなり、無理に戻そうとするとばねのようにビンッと戻ることからばね指と呼ばれています。今回はそんなばね指についてご説明します。

山形県のおやま整形外科クリニックのばね指イメージイラスト

一般社団法人 日本手外科学会 手外科シリーズ「ばね指」より引用


はじめに指を動かすメカニズムについてご説明します。指を動かすためには前腕にある筋肉と、その筋肉からつながっており手や指に走ってくるが関係しています。前腕にある筋肉が伸びたり縮んだりすることで腱が引っ張られたり、緩んだりします。その筋肉・腱の伸び縮みに合わせて指は曲がったり伸びたりするのです。

この腱の通り道で、指を動かすときに腱が浮き上がらないように押さえているのが腱鞘(けんしょう)です。腱が骨を這うように腱鞘で押さえつけられていることで、筋肉の収縮力を最大限指につたえることができる仕組みになっています。イメージしやすく言えば、腱鞘というトンネルの中を腱が出たり入ったりしている状況です。

この腱鞘は何か所か存在していますが、指の付け根付近の腱鞘(専門的には A1 といいます)では腱に負担がかかりやすく炎症が生じやすいです。 その A1 の腱鞘や、その周辺の腱が炎症を起こして腱鞘炎となり、さらに進行して腱が肥大化し腱鞘に引っ掛かかるようになるばね指となります。

山形県のおやま整形外科クリニックのばね指詳細イラスト

一般社団法人 日本手外科学会 手外科シリーズ「ばね指」より引用


ばね指の症状

先ほどご説明した通り、指の付け根にある腱鞘と腱が使い過ぎなどで炎症を起こすと、いわゆる腱鞘炎になります。その腱鞘炎の状態では腱がスムーズに動くことができなくなり、痛み・腫れ・熱っぽさを感じるようになります。 特にに症状が強くなりやすく、逆に日中に指を使っていると症状が軽くなることも少なくありません。 この腱鞘炎が進行すると腱が厚くなり、腱鞘に腱が引っかかってしまうことでばね現象が発生し、ばね指といわれるようになります。さらに悪化すると指が曲がったまま動かない状態になることもあります。

山形県のおやま整形外科クリニックのばね指具体的イメージイラスト

一般社団法人 日本手外科学会 手外科シリーズ「ばね指」より引用


ばね指の原因

ばね指は腱鞘炎が原因ですから、家事・スポーツ・仕事などで手をよく使う方に多いという特徴があります。編み物などの手芸やピアノなどの楽器の演奏も当てはまります。また、妊娠出産の前後女性・更年期の女性にも多いです。これはホルモン(エストロゲン)のバランスが乱れるためと考えられています。さらに糖尿病、リウマチ、透析などの患者様にもよく発生します。

部位としては親指・中指に多く、つぎに薬指、小指、人差し指にみられます。

山形県のおやま整形外科クリニックのばね指セルフチェックイメージイラスト

一般社団法人 日本手外科学会 手外科シリーズ「ばね指」より引用


ばね指の診断

各指の付け根が腫れていたり、押すと痛かったりするようであれば腱鞘炎の可能性が高いです。また腱鞘炎が進行して、腱鞘に腱が引っかかってしまうことで発生する「ばね現象」を認めるようであれば診断は簡単です。

糖尿病・透析・リウマチなどの患者さまでは、1つの指だけではなく数本の指に多発することもあります。


ばね指のセルフチェック

ばね指かもと思ったら、以下の内容をチェックしてみましょう。

  • 手のひら側の指の付け根が痛んだり、熱を持っている
  • 指の曲げ伸ばしがスムーズにできない
  • 朝起きたときに特に曲げづらい、こわばっている
  • 曲がったままになり、戻そうと力を入れるとビンっと跳ねる感じがする

これらの項目に一つでも当てはまればばね指の兆候がありますので整形外科へ行きましょう。

ばね指の治療

1, 安静

ばね指は指の使い過ぎが原因の一つとなりますので、まずは安静にします。シーネという添え木を使用するケースもあります。可能であれば仕事や家事などもお休みし、手や指をあまり使わないように意識してみてください。現実的にはなかなか難しいと思いますが、可能な限り安静にしましょう。

2, マッサージ・ストレッチ

痛いところを軽く押したり、マッサージしてみてください。また、痛い指を曲げたり伸ばしたりするのも効果が出ることがあります。しかし、痛みを押してまで行うのは危険です。痛みのない範囲でストレッチしたりマッサージしたりするようにしましょう。

3, 飲み薬・貼り薬・塗り薬

痛い場所に湿布や塗り薬を張り、患部の炎症をとります。その炎症がとれることで、痛みもとれてくる可能背があります。

4, 注射

これまでの「安静、マッサージ・ストレッチ、飲み薬・貼り薬・塗り薬」で改善しない方は、注射を検討します。注射にはキシロカインという局所麻酔薬と、ケナコルトという炎症を抑えるステロイド剤を用いることが一般的です。非常に効果が高く、注射して帰宅する頃には痛みがとれているケースがほとんどです。およそ3カ月から半年程度効果が持続します。

しかし、この注射には注意点があります。それは何度も注射を繰り返すと腱に負担がかかり、腱が切れてしまう可能性があることです。したがって、同じ指に対してこの注射は 2回程度までしか行わないことが一般的です。

5, 手術

注射で症状が改善し、半年後に再発してまた注射し、さらに半年後くらいに再再発したとしましょう。その場合、先ほど説明した通り、3回目の注射は腱にかかる負担が強くなるため行うことは少ないです。

そうなった場合に手術を行います。腱鞘切開術という手術で、局所麻酔で行うことができ、日帰り手術が可能です。簡単に言えば、腱を抑えている腱鞘を切って腱の通り道を確保してあげる手術となります。切開する腱鞘は一部だけですので指の機能には支障がありません。手術から1~2週間くらいで抜糸すると治療は終了です。

費用についてはおおよそ3割負担の方で1万円くらいと思ってください。この手術はご加入されている医療保険や生命保険によっても治療費が補償されることもありますので、保険会社様とよく相談してみましょう。

山形県のおやま整形外科クリニックのばね指治療イメージイラスト

一般社団法人 日本手外科学会 手外科シリーズ「ばね指」より引用


ばね指の予防

ばね指は完全に予防することは難しいですが、以下のストレッチや食事で予防できる可能性があります。

ストレッチ

  1. 手首を軽く曲げ、手のひらの下側と指先でブロック状のものを挟み、力を入れて押し合ってみましょう
  2. 手を伸ばし、片手ずつ交互に指をそらせます

食事

減少した女性ホルモン(エストロゲン)が多く含また食事をとると予防できるかもしれないといわれています。

①大豆食品

納豆、お豆腐など

②ビタミンE,B6

アーモンドやアボカド、カツオやレバーなど

運動

エストロゲンを活性させるためには筋肉を鍛えることも有効です。日光浴をしながらウォーキングするなどして、ホルモンを活性化しましょう。

「最近指の付け根が痛いなぁ…」と感じたらこのストレッチや食事・運動を意識していただきつつ、さらに安静にしてみてください。それでも痛みが取れないときはお近くの整形外科を受診するようにしましょう。

山形県寒河江市の整形外科 おやま整形外科クリニックの治療の特徴

おやま整形外科クリニックでは

  1. 詳しい問診・診察によりばね指に特徴的な症状・所見が出ていないかをチェックします。
  2. 症状が軽度の場合は「安静、マッサージ・ストレッチ、飲み薬・貼り薬・塗り薬」などから治療を開始します。
  3. 症状が重度の場合は「注射」を行います。
  4. 2回ほど注射をしても再発してしまう場合は、手術を考慮し手術ができる病院に紹介させていただきます。

このような手順で検査・治療を進め、患者さまに負担のない治療を心掛けてまいります。

治療費

おやま整形外科クリニックでの治療費の例

1割負担2割負担3割負担
初診診察
処方箋
約360円約720円約1,080円
再診診察
注射
約230円約450円約680円

まとめ

ばね指は手をよく使う方に多く発症するご病気です。普段の生活で頑張りすぎているのかもしれません。まずは安静にして様子をみつつ、痛みが続くようならすぐに当院や最寄りの整形外科の受診を検討してください。そのうえで、適切な治療を行い痛みをとりつつも、腱に負担の少ない治療を行っていくことが重要です。安易に注射を繰り返すことは避けるようにしましょう。

画像提供

一般社団法人 日本手外科学会 手外科シリーズ

「ばね指」より引用

動画提供

合同会社 Medivery 運営 YouTube チャンネル: "Medivery 大学病院"

監修医師

  1. 小山 翔平(おやま しょうへい): 日本整形外科学会 認定専門医…おやま整形外科クリニック 院長
  2. 正田 純平(しょうだ じゅんぺい): 日本整形外科学会 認定専門医…千葉大学大学院 医学研究院 整形外科学

山形県寒河江市の整形外科 おやま整形外科クリニックの院長紹介

氏名: 小山 翔平(おやま しょうへい)
出身地: 山形県寒河江市
資格: 日本整形外科学会 認定専門医